要件確定と変更統制の強化

#要件定義 #スコープ管理 #変更統制

「あとで決める」「とりあえず作る」が積み重なると、手戻りと遅延が増えます。
DreamOnは、要件を“分かる言葉”に落とし、変更を“決め方のルール”に載せて、迷わない開発を実現します。

※関連:期限必達の進捗マネジメント品質確保のQA/テストマネジメント

1. なぜ要件で迷うのか(本質)

  • 要求(目的)と要件(仕様)の線引きが曖昧で、人によって解釈が違う
  • 受入基準がなく、「終わった/終わっていない」の判断が割れる
  • 変更の入口がバラバラで、影響評価や承認の流れが決まっていない

これは「努力不足」ではなく、定義と言語化、そして統制の不足です。標準に沿って構造化すれば、迷いは大幅に減らせます。1,2

2. 迷わないための原則(3つ)

  1. 分けて定義する: 要求→要件→受入基準を分離し、粒度を揃える(機能/非機能)。2
  2. 合意を残す: 決定事項はDecision Logで「何を・なぜ・誰が・いつ」を一枚に記録。1
  3. 変更を統制する: 変更起票→影響評価(QCD)→承認(CCB)→計画反映→受入基準・トレーサ更新の一方向フローに載せる。1,3

※ 原則は組織規模や開発手法(アジャイル/ウォーターフォール)に合わせて軽重を調整します。

3. 設計サイクル(定義 → 合意 → 統制)

3.1 定義:要求→要件→受入基準を“線”でつなぐ

  • 用語・命名・粒度ルールを決める(要件ID・非機能タグ等)。
  • 各要件に受入基準(Given/When/Then 等)を付与し、「判定可能」にする。2
  • トレーサビリティを設計(要件↔設計↔テスト↔欠陥)。

3.2 合意:Decision Logでブレを止める

  • 会議の議事録に埋もれさせず、1枚テンプレで決定事項を記録。
  • 「前提/背景」「採用理由」「影響」「代替案」を短く残す。
  • 誰でも参照できる場所に集約(Confluence / SharePoint 等)。1

3.3 統制:変更を“同じ入口・同じ手順”で扱う

  • 変更起票は一本化(フォーム or チケット)。
  • 影響評価はQCDで数値化し、承認レベルを閾値で分岐(例:A=PMO、B=PM)。1,3
  • 承認後はWBS/ロードマップへ反映し、受入基準更新→テスト/トレーサ更新→設計&テストまで連鎖させる。
上:定義層/中:更新層/下:変更統制層 を縦に連結(更新層を右寄せ) 上:定義層 中:更新層 下:変更統制層 要件 受入基準 設計・実装 テスト ↓ トレーサ ↓ トレーサ AC更新 トレーサ更新 AC更新→テストケース反映 トレーサ更新→設計・実装/テスト 変更起票 影響評価(QCD) 承認(CCB) 計画反映 計画反映 → AC更新/トレーサ更新 ■ 実線:定義/更新/連結の流れ  — — 破線:トレーサ(追跡)  下→中→上:変更統制→更新→実作用
縦3層(上=定義/中=更新/下=変更統制)。計画反映からAC更新・トレーサ更新へ分岐し、テスト/設計・実装へ波及。更新層を右寄せして矢印の交差・重なりを低減しました。

4. 最少セット(これだけで回り始める3つ)

  • 要件構造ガイド: 用語集・命名規約・粒度ルール・非機能タグ・トレーサ設計
  • 変更管理計画: 変更の入口、影響評価(QCD)、承認(CCB)、計画反映、AC/トレーサ更新の手順
  • Decision Log+レビュー標準: 合意記録1枚テンプレとレビュー運営要領

まずは“最少セット”で運用開始 → 実データで改善 → 標準を更新、の軽量ローンチで定着させます。

5. DreamOnの役割(伴走支援の範囲)

  • 現状診断(粒度・整合・変更入口の棚卸)とギャップ可視化
  • 要件構造ガイド/変更管理計画/Decision Logのテンプレ提供と初期整備
  • レビュー・CCB・合意形成のファシリテーション設計と立ち上げ支援
  • 運用トレーニング(要件記述・AC作成・影響評価)と定着フォロー

参考文献

  1. 1. Project Management Institute (2017). PMBOK® Guide – Sixth Edition — 統合変更管理/コミュニケーション/ステークホルダー。
  2. 2. ISO/IEC/IEEE 29148:2018 — 要件の明確化・一意識別・受入基準・トレーサビリティの定義。
  3. 3. IPA(2023)『システム開発プロジェクト実践ガイド 要件定義編』— 要件定義完了条件と変更手順の確立。

/

次に読む