遂行マネジメント(Execution)
- 要件確定と変更統制の強化
- 期限必達の進捗マネジメント
- リスクと移行の計画設計
統制マネジメント(Governance)
1. 遅れは「努力」でなく「仕組み」で防ぐ
プロジェクトが遅れると、つい「もっと頑張ろう」「残業で挽回しよう」となりがちです。 しかし、遅れの原因は多くの場合、努力ではなく“見えない構造”にあります。 たとえば、進捗報告が曖昧だったり、優先順位が共有されていなかったり。 PMIの国際調査では、こうした「不十分な進捗管理とステークホルダー調整」が失敗要因の上位に挙げられています1。
遅れを防ぐコツは、**「早く気づく」「すぐ直す」「全員で見る」**。 計画の段階からこの仕組みを作っておくことが、期限を守る最短ルートです。
2. 「報告」ではなく「制御」する進捗管理へ
多くの現場では、進捗会議=報告会になっています。 「進んでいます」「もう少しかかります」では、状況は分かっても打ち手は出ません。 真の進捗マネジメントとは、**状況を“制御する”こと**です。 たとえば、遅れの原因を数値で捉え、次のアクションを明確にすることです。
- 進捗を「完了率」だけでなく「残作業量」「依存関係」で把握
- 遅れの兆しを数値で検知し、対策を即日で共有
- 定例会を「報告の場」ではなく「判断の場」に変える
これはPMBOKで言う「アジャイル型の適応的コントロール」にあたります2。 属人的な管理ではなく、仕組みでコントロールするのが現代的な進捗管理です。
3. DreamOnが支援する3つのステップ
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① 見える化する
現在の進捗・遅延リスク・残作業を「見える数字」にします。 専用ツールを使わなくても、Excelやガントチャートでも構いません。 大事なのは「誰でも同じ情報を見て話せる状態」を作ることです。 -
② 再設計する
クリティカルパス(遅れると全体に影響する作業)を洗い出し、優先順位を付け直します。 並行作業や一時的なリソース調整など、現実的なリカバリー策を検討します。 -
③ 回す・直す
定例会の目的を「報告」から「判断」に変え、 “小さく直す→すぐ共有する”サイクルを定着させます。 PMIの調査では、このように「早期是正を仕組み化」した組織は成功率が約1.5倍高いと報告されています3。
感覚ではなく数字で進捗を制御する。
4. 進捗を「見える化」するための工夫
進捗の見える化は、必ずしも高価なツールが必要ではありません。 大切なのは、**「共通のものさし」**を持つことです。
- ガントチャートやカンバンを「毎日見るボード」にする
- 進捗率ではなく「残作業日数」で報告させる
- 遅れの理由を「数字+一言」で書く(例:2日遅延:依頼資料未着)
こうした習慣づけは、PMBOKの「モニタリング&コントロール」プロセスやIPAの推奨事例にも一致します2,4。
5. まとめ ― 期限を守るチームは「見えるチーム」
期限を守る力は、個人の頑張りではなくチームの仕組みから生まれます。 世界のプロジェクト分析では、明確な可視化ルールを持つ組織は成功率が平均30%以上高いとされています4。 遅れを「悪いこと」と捉えるのではなく、「早く気づくための信号」として扱う文化が大切です。
DreamOnは、こうした“気づける仕組み”と“早く直せる運営”を、クライアントと一緒に設計します。
参考文献
- 1. Project Management Institute (2021). Pulse of the Profession. ― 不十分な進捗管理とステークホルダー調整が失敗要因上位に。
- 2. Project Management Institute (2017). PMBOK® Guide – Sixth Edition. ― 「モニタリングとコントロール」「アジャイル適応型マネジメント」章より。
- 3. PMI (2022). Pulse of the Profession: The High Cost of Low Performance. ― 進捗是正を仕組み化した組織は成功率1.5倍。
- 4. IPA(情報処理推進機構)『ITプロジェクトの実態調査報告書』(2020年)。 ― 可視化と早期対応を行う組織は成功率が約30%高いと報告。